不動産売買の議事録の書き方と法的要件・承認手続き・記録例

query_builder 2025/03/06
著者:株式会社東技研
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「不動産売買の議事録って、本当に必要?」

 

そう疑問に思ったことはありませんか?企業が不動産を売買する際、取締役会や株主総会での承認を適切に記録していないと、契約が無効になったり、税務調査で指摘を受けたりするリスクがあります。

 

特に近年の商業登記法改正により、議事録の電子化が進み、従来の紙ベースの記録方法では不十分になるケースも増えています。「どんな情報を記載すればいいのか?」「取締役が関与する取引の記録はどうするのか?」といった疑問を抱えている方も多いでしょう。

 

この記事では、不動産売買に関する議事録の作成方法を、会社法・不動産登記法の観点からわかりやすく解説します。適切な記録のルールを知り、後から「議事録が不備だった…」と後悔しないために、ポイントを押さえておきましょう。

 

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不動産売買における議事録の作成完全ガイド

不動産売買において議事録が必要となる理由は、会社法・不動産登記法などの法的規制に基づくものです。企業が不動産を売却・取得する際、取締役会や株主総会における承認を経ることが求められるケースがあります。これは、企業が重大な資産を動かす際に、取引の透明性や適法性を確保するためです。

 

また、議事録は後のトラブルを防ぐためにも不可欠です。特に、取締役や株主など関係者間の合意が曖昧なまま不動産売買を進めてしまうと、契約の無効リスクや税務トラブルに発展することがあります。そのため、議事録の適切な作成が求められます。

 

議事録の種類と用途|取締役会・株主総会・監査役会

 

議事録の種類によって、法的な要件や記載内容が異なります。以下の表で、それぞれの特徴を整理します。

 

議事録の種類 目的 記載事項の例 必要な承認手続き
取締役会議事録 取締役会での決議事項を記録 取締役の出席状況、議題、決議内容 取締役の過半数の承認
株主総会議事録 会社の重要事項についての決議を記録 株主の出席状況、発言内容、決議内容 株主の過半数または特別決議の承認
監査役会議事録 監査役の監査結果を記録 監査結果、指摘事項、会社の対応方針 監査役の同意

 

取締役会・株主総会の議事録は、特に不動産売買のような大きな資産移動を伴う場合に重要です。

 

取締役会議事録に必ず記載すべき項目

 

企業が不動産を売買する際、取締役会議事録には以下のような情報を記載する必要があります。

 

  • 開催日時・場所:議事録には会議の正確な日時と場所を明記する。
  • 出席取締役の氏名:会議に参加した取締役の氏名を記録。
  • 議題:不動産売買に関する議案の内容を詳細に記載。
  • 決議内容:取締役会の決定事項(売買価格、契約条件、必要書類など)を明確に記載。
  • 賛成・反対の取締役の記録:誰が賛成し、誰が反対したのかを明確にする。

 

利益相反取引に関する取締役会議事録の重要ポイント

 

取締役が会社の不動産売買に関与する場合、利益相反取引の承認手続きが必要です。これは、取締役が個人や関連会社と取引を行う際に、企業の利益を損なわないようにするための制度です。

 

会社法355条では、取締役が自己または第三者のために会社と取引を行う際、取締役会の承認を得る必要があると定められています。そのため、議事録には以下の要素を盛り込む必要があります。

 

  • 利益相反取引の詳細(売買価格・契約条件など)
  • 取締役会の承認を得た事実
  • 取締役が関与していることを明記し、適法性を担保するための文言

 

また、利益相反取引では、取締役自身が議決権を行使できないため、議決権を持たない取締役が承認手続きを行う必要があります。

 

株主総会議事録と不動産売買の関係

 

企業が所有する不動産を売却する際、取締役会だけでなく、株主総会の承認が必要となる場合があります。特に「重要な財産の処分」とみなされる場合、会社法上の株主総会決議が求められることがあります。

 

株主総会議事録には、以下の項目を必ず記載することが求められます。

 

  • 株主総会の開催日時・場所
  • 出席株主の氏名および持ち株比率
  • 決議事項(不動産売買の承認など)
  • 賛成・反対の投票結果
  • 議事録の署名捺印(代表取締役・議長など)

 

「取締役が同一」の場合の株主総会議事録の記載方法

 

中小企業やオーナー企業では、取締役と株主が同一人物であるケースが多いため、意思決定が簡素化されることがあります。しかし、その場合でも適正な議事録作成が求められます。

 

具体的には、

 

  • 利益相反取引としての承認が適切に行われたか
  • 売買価格が市場相場と整合性があるか
  • 税務処理の透明性が確保されているか

 

といった点を明確にし、第三者からの指摘を受けた際に説明できる形にすることが重要です。

 

この記事では、企業が不動産売買において議事録を適正に作成し、法的リスクを回避する方法を詳しく解説しました。引き続き、実務で使える議事録のテンプレートや最新の法改正情報について詳しく見ていきます。

 

不動産売買に関する議事録とは?基本概念と重要性

不動産売買において議事録が必要とされるのは、会社法や不動産登記法などの法律によって、企業が不動産の売買を行う際の意思決定プロセスの透明性を確保するためです。適切な議事録を作成することで、将来的な契約トラブルや法的リスクを回避することが可能になります。

 

会社法・不動産登記法に基づく議事録の法的根拠

 

企業が不動産を取得・売却する際、以下の法律が関係します。

 

法律名 概要 議事録作成の必要性
会社法 会社の重要な資産取引について取締役会・株主総会での承認が必要 取締役会または株主総会の承認を明文化するため
不動産登記法 不動産の所有権移転登記の際に、会社の意思決定プロセスを証明する書類が必要 議事録が登記手続きの添付書類として求められる
商業登記法 会社が取締役会を設置している場合、一定の取引については取締役会の議決が必要 会社の決定が正当であることを証明するために議事録が必要

 

不動産の売買は企業の財務状況に大きく影響を与えるため、取締役会や株主総会の承認を得ることが求められることがあります。特に、取締役自身が取引の当事者である場合、利益相反取引として厳格な承認手続きが必要になります。

 

企業が不動産を売却・取得する際、どの意思決定機関で承認を得るべきかは、取引の規模や取締役会の設置の有無によって異なります。

 

取締役会設置会社の場合 取締役会が設置されている企業では、取締役会の承認が必要となります。そのため、不動産売買の決定事項を正式に記録した取締役会議事録を作成しなければなりません。

 

取締役会非設置会社の場合 取締役会を設置していない企業では、取締役会の承認は不要です。ただし、取引の内容によっては株主総会の承認が必要になる場合があります。

 

株主総会が必要な場合 会社の定款で定められた基準に該当するような重要な資産を処分する場合は、株主総会での承認が求められます。この場合、株主総会議事録を作成し、正式な記録として残すことが必要です。

 

企業の規模が大きくなるほど、取締役会・株主総会の関与が増し、議事録作成の重要性が高まります。

 

誤った議事録作成が引き起こす法的リスク

 

適切に議事録を作成しないと、以下のような法的リスクが発生します。

 

  • 取引の無効リスク:取締役会や株主総会の承認が必要な取引にもかかわらず、適切な手続きを経ずに売買を行った場合、取引自体が無効とされる可能性があります。
  • 登記の却下:不動産の登記申請時に、議事録の不備が原因で登記が受理されないケースがあります。
  • 税務上の問題:税務署からの監査時に、取引の適正性が証明できないと、法人税や固定資産税に関する問題が発生することがあります。
  • 株主・取引先からの訴訟リスク:意思決定プロセスが不透明な場合、株主や取引先から契約の無効を主張される可能性があります。

 

適切な議事録の作成と管理は、法的リスクを防ぐために不可欠です。

 

不動産売買に関する取締役会議事録の作成手順と注意点

取締役会議事録は、企業が不動産売買を行う際に法的根拠を示し、意思決定の透明性を確保する重要な文書です。不動産取引が後にトラブルになった際、議事録が適切に作成されていないと、取引の無効や訴訟リスクが発生する可能性があります。そのため、以下の重要項目を確実に記録する必要があります。

 

開催日時・出席者の記録ルール

 

議事録に記載すべき内容

 

議事録には、取締役会の開催日時や場所、出席者を正確に記録する必要があります。これは、会社法に基づいた正式な会議であることを証明するためです。

 

記載例

 

  • 開催日:2025年3月5日
  • 開催時間:10:00~11:30
  • 開催場所:本社会議室(東京都〇〇区〇〇)
  • 出席取締役:代表取締役 〇〇〇〇、取締役 〇〇〇〇 ほか
  • 欠席取締役:なし
  • 議長:代表取締役 〇〇〇〇
  • 議事録署名人:取締役 〇〇〇〇

 

正確な記録を残すことで、取締役会の決定が適正に行われたことを証明できます。

 

議題・決議内容・賛否の記録方法

 

取締役会で議論された議題や、その決定事項を詳細に記載します。また、議決に参加した取締役の賛否を明記し、意思決定の正当性を証明できるようにします。

 

記載例

 

議題: 〇〇ビルの売却に関する決議
内容: 〇〇ビルを1億円で売却する契約について承認の可否を議決
決議結果: 賛成〇名 / 反対〇名 / 棄権〇名(賛成多数で可決)

 

注意点:

 

  • 議事録に曖昧な表現を用いず、具体的な数値や契約条件を記載する。
  • 決議の方法(挙手、投票など)を明記する。

 

適法性を担保するための文言・記載例

 

適法性を確保するため、以下のような文言を記載することが推奨されます。

 

記載例:
「本取締役会において、会社法に基づく正規の手続きを経て、当該不動産売買契約の締結を決定した。本決議の内容は、出席取締役全員の承認を得たものであり、これを正式に議事録として記録します。」

 

このように記載することで、議事録が法的な証拠としての効力を持つようになります。

 

利益相反取引に関する取締役会議事録の重要ポイント

 

不動産売買の取引に取締役が関与する場合、会社法上の「利益相反取引」に該当する可能性があります。利益相反取引では、取締役会で特別な承認手続きが必要です。

 

取締役が不動産売買に関与する場合の議事録の書き方

 

取締役が不動産の売主または買主となる場合、通常の取引より厳格な議事録の作成が求められます。

 

記載例: 「本取締役会において、取締役 〇〇〇〇が売主となる不動産売買契約(売却金額:1億円、所在地:東京都〇〇区〇〇)について協議を行った。会社法第355条に基づき、当該取締役は議決に参加せず、他の取締役による審議の結果、賛成多数により承認された。」

 

利益相反取引の承認プロセス(会社法355条)

 

取締役が関与する取引の承認手続き

 

会社法第355条により、取締役自身が関与する不動産売買は、特別な承認手続きが必要です。

 

承認プロセス

 

  1. 取引の説明:取締役が関与する不動産売買の契約条件を詳細に説明する。
  2. 取締役会での審議:関与する取締役は議決に参加せず、他の取締役が承認の可否を決定する。
  3. 議決結果の記録:賛否を明記した議事録を作成し、法的に有効な記録として残す。

 

承認記録の記載例

 

  • 議題:取締役 〇〇〇〇が関与する不動産売買契約の承認
  • 取引の詳細:売買金額、契約条件、取引相手
  • 承認手続き:会社法第355条に基づく審議
  • 賛否:賛成〇名 / 反対〇名 / 棄権〇名(賛成多数で可決)

 

適切な手続きを経ることで、利益相反取引の適法性を確保できます。

 

議事録の押印・電子保存は可能か?最新の法律動向

 

近年、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進により、議事録の電子化が進んでいます。電子議事録を活用することで、法的証拠力を高め、業務の効率化が可能になります。

 

議事録の法的証拠力を高める方法

 

  • 原本性の確保:原本性を確保するため、電子署名を使用する。
  • 改ざん防止:電子署名やタイムスタンプを活用し、改ざんを防ぐ。
  • 登記手続きでの活用:商業登記法改正により、電子議事録も登記所に提出可能。

 

株主総会議事録の作成と法的リスクを回避するポイント

企業が所有する不動産を売却する際、取締役会の承認だけではなく、株主総会の承認が必要となるケースがあります。これは、会社の財産管理に関する重要な決定であり、株主の利益を守るための制度として設けられています。特に、大規模な不動産売却の場合、適切な手続きを経ずに売却を行うと、取引が無効とされる可能性があるため、正確な議事録の作成が求められます。

 

株主総会の承認が必要なケース

 

会社法では、特定の条件に該当する不動産売買において、株主総会の承認が必要とされています。

 

承認が必要な主なケース

 

  • 重要な財産の処分:会社の総資産の一定割合を占める不動産を売却する場合(会社法第309条)。
  • 取締役会非設置会社の場合:取締役会がない企業では、株主総会での承認が求められる(会社法第295条)。
  • 会社の支配権に影響を及ぼす取引:企業の経営方針が大きく変わるような不動産売買(会社法第467条)。

 

このような取引では、株主への十分な説明と正式な議決を経ることが必要です。

 

議事録に明記すべき承認内容・決議事項

 

株主総会議事録には、以下の項目を明記する必要があります。

 

  • 開催日時・場所:株主総会の正確な日時と場所を記録。
  • 出席者のリスト:出席株主の氏名・持ち株数を明記。
  • 決議内容:不動産売却に関する議題の詳細を記録。
  • 承認の賛否結果:株主による賛成・反対の票数を記載。
  • 特記事項:株主からの意見や質疑応答の内容を記録。

 

記載例

 

議題: 〇〇ビルの売却について
内容: 会社が保有する〇〇ビルを〇億円で売却することについての承認可否を決議
決議結果: 賛成〇名 / 反対〇名 / 棄権〇名(賛成多数により承認)

 

株主の権利を守るための記録手法

 

  • 意思決定の透明性:すべての議論を詳細に記録し、意思決定の過程を明確にする。
  • 書面での証拠保全:議事録の原本を紙媒体または電子データとして保管。
  • 株主の意見を反映:総会中に出た意見や反対意見も記録し、会社の運営に活かす。

 

株主の権利を守るために、議事録には公正な内容を記載することが重要です。

 

まとめ

不動産売買における議事録は、企業の重要な意思決定を証明し、法的トラブルを防ぐために不可欠な書類です。しかし、多くの企業では「どのように記載すれば適切なのか?」「必要な承認手続きは?」といった疑問を抱えています。本記事では、会社法や不動産登記法に基づく適正な議事録の作成方法を詳しく解説しました。

 

まず、取締役会や株主総会の議事録作成において、記載すべき必須項目を押さえることが重要です。例えば、開催日時、出席者のリスト、決議事項、賛否の結果などの要素を明確にし、適法性を担保するための文言を盛り込む必要があります。

 

企業の不動産売買において、議事録の作成を適当に済ませてしまうと、契約の無効化や税務監査時の問題発生といったリスクにつながります。取締役会・株主総会での適正な手続きを確実に行い、後からトラブルにならないための記録を残すことが、企業経営の安定につながるのです。本記事で紹介したポイントを活用し、確実な議事録作成を実践してください。

 

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よくある質問

Q. 不動産売買の議事録を作成しないとどのようなリスクがありますか?
A. 取締役会や株主総会での承認を適切に記録していない場合、不動産売買の契約自体が無効と判断されることがあります。例えば、取締役会設置会社の場合、取締役会の決議なしに代表取締役が単独で不動産売買契約を締結した場合、後から「会社の承認を得ていない」として契約が取り消されるケースもあります。また、登記申請時に法務局から不備を指摘され、最長6カ月以上手続きが遅れることもあるため、正しい議事録を作成することが重要です。

 

Q. 不動産売買の議事録にはどのような内容を記載すればよいですか?
A. 議事録には開催日時、出席取締役の氏名、議題、決議内容、賛否の記録などを明確に記載する必要があります。特に、利益相反取引が絡む場合は、会社法第355条に基づき、取締役本人を議決から除外し、他の取締役による承認プロセスを記録しなければなりません。また、登記申請に必要な場合は、代表取締役の押印や印鑑証明書の添付が求められるため、事前に準備しておきましょう。

 

Q. 不動産売買の議事録は電子化できますか?
A. はい、2023年の商業登記法改正により、電子署名を付与した電子議事録も法的に有効と認められています。これにより、従来の紙ベースの議事録よりも保管・検索が容易になり、業務の効率化が図れます。電子化にあたっては、電子署名、タイムスタンプを付与することで、原本性が確保されます。ただし、法務局に提出する登記書類として利用する場合は、対応可能な電子証明書を取得しておく必要があるため、事前に確認が必要です。

 

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